看護師に求められる医療技術の一つが、注射だ。注射は人体への侵襲行為のため、失敗すれば血管や神経などの重要な器官を傷つける恐れがあり、緊張感が強いられるだろう。看護師の中には、そうした注射を苦手とする人もいる。注射が苦手なら、注射の機会が少ない職場を選ぶのも一つの手だ。たとえば、人間ドックや健診センターなどがある。また、看護師の勤務先は注射を避けられない医療機関だけではなく、保育園や介護施設なども挙げられるだろう。
保育園では、園児の感染予防や園内の衛生管理を一手に引き受けるため、責任は重いが注射をする場面は基本的にない。介護施設では高齢者の健康管理を行い、ケガや病気などの緊急事態に対応しなければならないものの、やはり注射を求められることは少ないだろう。いずれにしても、心肺停止状態のような重大な事態ではエピネフリン投与をせず、心臓マッサージやAEDなどの蘇生措置をして救急車を呼ぶ対応になる。
そして、企業で産業看護師として働く道もあるだろう。産業看護師は社員の健康管理を担当するだけで、急病の看護を行うだけで注射をすることはない。そのほか、電話対応だけのコールセンターに勤務すれば、電話で医療相談に乗ることが仕事になるため患者と直接接することがなく、注射をする機会は一切ないのだ。ただし、コールセンターでは医師に頼らず、相談者が訴える症状からとるべき対策を自力で提案しなければならない。したがって、豊富な医療知識と実務経験が必要となるだろう。